Topics
アートサイエンス学科の学生が制作に携わった作品「吃音AIアバター×高精細LEDビジョン(because of my stuttering)」が、一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムが主催する「デジタルサイネージアワード2026」において、優秀賞を受賞しました。受賞作の発表は、2026年6月10日に幕張メッセで開催された「デジタルサイネージジャパン2026」会場にて行われ、本作品は全国から寄せられた数多くの応募作品の中から、優秀賞(全10点)の一つに選出されました。
【作品名】
吃音AIアバター×高精細LEDビジョン(because of my stuttering)
【出展】
大阪芸術大学アートサイエンス学科/三幸電子株式会社
【主催】
一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム
【受賞発表】
2026年6月10日(デジタルサイネージジャパン2026/幕張メッセ)
【設置場所】
大阪芸術大学内(2026年1月14日より稼働)
【受賞作品ページ】
https://digital-signage.jp/openevent/award/2026winner/
【受賞者】
大野 凪咲(アートサイエンス学科 博士後期課程3年)
西尾 拓真(アートサイエンス学科 博士後期課程2年)
駒井 浩紀(アートサイエンス学科 博士前期課程1年)
有富 伯玖(アートサイエンス学科 学部4年)
指導教員:安藤 英由樹 教授
本作品「because of my stuttering」は、AIアバターと高精細LEDビジョンを組み合わせ、吃音(きつおん)のある状態での対話を体験できるインタラクティブ作品です。利用者がマイクに話しかけると、その音声がAIによって吃音のある話し方へと変換され、AIアバターもまた吃音を伴って応答します。利用者は吃音の強度を調整しながら対話を重ねることで、吃音のある状態でのコミュニケーションに段階的に慣れていく体験ができます。
大阪芸術大学による「吃音AIアバターとの対話体験システム」と、三幸電子の「高精細LEDビジョン」(COBタイプLED、ピッチ1.25mm、横1.2m×縦2.025m)を融合させたコミュニケーションサイネージです。等身大に投影されたアバターとの会話を双方向に吃音へと変換することで、体験者は吃音のある人の視点を追体験することができます。
本作品が目指すのは、技術によって吃音を「矯正」することではありません。多様な話し方を当たり前のものとして受けとめる——社会全体の寛容性を高めることを本質的なテーマとしており、当事者の自己受容を促すとともに、見る人・体験する人に多様性への理解を投げかける作品となっています。
審査では、本作品について次の点が評価されました。
本作では、吃音が「特別」ではなく「当たり前のものだったら」という体験ができる空間の設計を目指しました。等身大の高精細サイネージによってアバターにまるでそこにいるかのような実在感を与えることで、体験者とアバターの関係性が観察者と被観察者ではなく、対等な当事者同士となります。
発起人である大野先輩の「吃音に限らず、ネガティヴに捉えられる属性が特異なものではなく、日常的なものだと認識されることが真の多様性だ」という考えに感銘を受けて制作に携わってきました。今回、高精細のサイネージによって等身大のリアルな人物として表現できたことで、この思いがより想像しやすいビジョンとして伝えられるようになったと実感しています。
コミュニケーションにおいて「意識をする」は、単純な物事であっても捉え方を様々に変化させ、構え方を変えてしまいます。本作は、この「些細な感覚」を伝えることにおいてサイネージが齎す効力を、制作・展示を通して思い知りました。今後も使用するサイネージの個性を活かした作品を作っていきたい所存です。
本作の制作過程では、サイネージをバーチャルプロダクション用途として活用し、モーションキャプチャにおける現実空間とCG空間の位置関係をリアルタイムに同期させました。これにより演者がCGの世界に入り込んだような環境を実現し、より精度の高い撮影フローを構築することができました。
本作は、大阪芸術大学アートサイエンス学科のAIアバター技術と、三幸電子株式会社の高精細LEDビジョンという、産学それぞれの強みを融合させて生まれた作品です。学生が企業とともに最先端の技術へ挑み、その成果を社会へと届けていく——アートサイエンス学科は、これからもそんな産学協働の場であり続けます。